⑤ゲームの仕組みを研究する



 長期の目標は五十パーセントの確率で達成できると感じられるようにするといい。それに対して、その日どのような勉強をするかといった短期の目標は「ほぼ間違いなくクリアできる」と信じられるようにした方がいい。

 僕らはゲームの難易度を甘く見がちで、かつそれで失敗して、やる気を失っていく。

 たとえば「今日は十時間勉強しよう」と高い目標を掲げて、それを実行できる人は、僕の経験的にはかなり少ない。「やっぱり俺はダメなんだ」みたいな気持ちは、こうした失敗を重ねることで生まれてくる。それは、あまりいいやり方とはいえない。

 多くの人は掲げる目標が高すぎる。自分の実力を見誤って、できもしない目標を決めている。つまり、ゲームバランスの調整に失敗している。

 ゲームバランスを適切に調整するために大切なのは、できるだけ厳しく現実を見つめること。そのためにも、そもそも自分が挑もうとしているゲームが、どれくらい難しいのかを、他の例を参考にしながら考えることが欠かせない。

 実際にゲームに取り掛かり、それが思っていたよりも大変であることに気づいたら、目標を再設定する必要もあるかもしれない。

 志望校を下げないためにはより大きな努力が必要だと分かった時、自分がそれを実行できるかどうかを厳しく考えて、最終的にどうするかを自分で決断しなければならない。より大きな努力ができるのであればそうしたらいいし、今すぐにはできなさそうだと感じるなら志望校を下げないといけないだろう。

 世の中では成功譚ばかりにスポットライトがあてられるから、簡単に成功できるような錯覚に陥りやすい。でも、現実には成功よりも失敗の方がずっと多いのだ。

 甘い誘惑に引きずられて成功譚を鵜呑みにしてはいけない。むしろ、失敗例の中にこそ、僕らが学ぶべき真実がたくさん含まれているのだ。

 そのように現実を厳しく見た上で、短期的な目標は「ほぼ間違いなくできる」と思えるものに設定する。そして、それをできるだけ一日の早いうちに終えるようにする。

 この短期の目標は、どれだけ低くてもいい。大切なのはそれを達成すること。

 達成できたという実感は大切だ。そのような「小さな成功体験」を積み重ねることによってのみ、少しずつ自信が生まれていく。日々、地道に積み重ねた小さな成功体験は、やがて心の固い地盤となって、大いなる挑戦をする際の揺るぎない土台になる。

 その日の目標を達成したからといって、そこで終わりにする必要はない。一段回目の最低限の目標を達成した上で、それより高い二段階目の目標を目指すことで、僕らは小さな成功体験を着実に得た上で、次の目標へと向かうことができる。

 ゆとりをもってはじめの目標を達成できれば、次なる目標へ向けて「もうすこしがんばろう」という気持ちがわく。こうした小さな成功体験を積み重ねながら、より高く、大きな目標へと向かっていくことが、長期的な挑戦を成功させるための基本的な道筋だ。