③ゲームのように没頭する


 「集中力がない」という相談を受けることは多い。

 でも、集中力がないというのはどういうことなのだろう。そもそも集中力って、どんな力なのだろう。「よし、集中するぞ」と思えば集中できるものなのだろうか。でも、すくなくとも僕はそんな芸当はできないよ。

 おそらく、多くの人は「集中するぞ」と思ってもできないから「集中力がない」と言っている。でも「集中するぞ」というような意気込みだけではどうにもならないものが「集中力」という言葉の中にはある。

 僕にとって集中するというのは、テレビゲームをすることに似ている。いつの間にか日が暮れるほど没頭した経験を、ゲームを通して僕はどれだけしてきたことか。あれほどの集中力を発揮した経験はあまり思い当たらない。こうした「いつの間にか日が暮れるほど没頭する」という経験は、まさに集中という言葉にぴったりではないだろうか。

 ほかにも、僕らは小説やマンガや映画といった物語に触れている時も、時間が経つのを忘れるほど高い集中力を発揮しているように思える。あるいは、全身全霊でスポーツに打ち込んでいるような時も没頭しているとはいえないだろうか。

 没頭する前に必ず「没頭するぞ」と思っているわけではない。むしろ、没頭する環境に放り込まれると、僕らは自然に没頭してしまう性質を持っている気がする。

 「集中するぞ」と思っていなくても、「いつの間にか」してしまうこと。それこそ僕らが経験する「集中」だとすれば、「集中力」とは「主体的に集中する力」ではなく、「いつの間にか没頭している状況を作る力」という方が正しいのかもしれない。

 自分が集中しているかどうかは、そんなことを考えないくらい没頭しているかによって測られる。つまりは、ゲームをしたりマンガを読むように没頭しているかどうか。それを考えれば、自分がどれくらい集中できているか分かるはずだ。