これまでできなかった理由


 すべての物事が自分の思い通りになるわけではない。だとしても、何かうまくいかないことが起こっている時には、必ず、そうした結果に至った原因がある。

 これは、当たり前のようでいて見過ごされがちなことだ。それでいて、とても重要なことなので強調しておきたい。

 結果には、必ず原因がある。

 こんな当たり前のことを、僕らはすぐに見失ってしまう。この考えを守り、信じ抜くことは、頭がよくなるための鍵だと言ってもいいほどだ。

 たとえば、勉強ができない、という結果があるとしよう。そこにはさまざまな原因が考えられる。必要な知識を覚えていない。それを組み合わせる力や経験が足りない。あるいは、そうした失敗の経験が重なることで勉強嫌いになってしまった。そして、やっていないせいで、ますます勉強ができなくなった……といったように。

 でも、現実にはそうした原因を追求しないで「自分はバカだからだ」といった安易な答えに飛びついてしまうことが少なくない。それは考えることをやめてしまっているということだ。

 このような思考停止は、実はそこらじゅうにあふれている。もし「そこらじゅうにあふれている」ということに気づいていないとすれば、それがまさに考えることをやめてしまっている証なのだ。

 考えることをやめてしまうと、いま直面している問題が解決できないまま放置されてしまう。その結果、「自分はバカだからだ」という間違った原因が、そう思うことによって現実のものになってしまう。そして、間違った原因を真実だと誤解したまま生きることになる。

 「自分はバカなんで」という若者は、そう考えることによって、その後に隠された「だからできなくても仕方ない」という諦めの気持ちを表現している。どう頑張っても解けない問題を前に、それと向き合うことから逃げてしまっている。

 でも、目の前に生じている問題には、その結果を引き起こした原因がある。その原因を突き止めることができれば、問題は必ず解決できる。逆に言えば、問題が解決されないまま放置されているのは、原因が突き止められるまで考えていないからなのだ。

 たとえば、ある数学の問題ができないことにも、勉強のやる気が起きないのも、あるいは「自分はバカだ」と思ってしまうのにも、すべて原因がある。その問題を突き止めることができれば、問題を解決することができる。

 それは料理が美味しくない原因を突き止めようとすることと同じだ。なぜ、この料理は美味しくないのか。そう問うことによって、問題の解決に近づいていくことができる。でも、美味しくないのは自分に料理の才能がないからだと諦めてしまえば、いつまで経っても料理は上達しないし、美味しい料理にもありつけないだろう。