考える経験は、必ず活きる


 世界中の国や地域ごとにさまざまな料理がある。また、家庭と大衆食堂とレストランのように、食べる場所も多様だ。それぞれに素材も違えば、料理の方法も異なる。ただ、料理ができあがるまでのプロセスは、どこかで通じ合っているものがある。

 だから、たとえば日本で料理を得意としていた主婦が、それまでまったく縁のなかった国に行くようなことがあったとしても、きっとそれまでの経験を活かして素早く現地の料理の方法を身につけるだろう。素材の扱い方のカンも働くに違いない。

 同じように、ある分野で思考力を鍛えておけば、別の分野にも応用できる。

 たとえば、頭のよさとは関係ないように思えるスポーツ選手が、とても頭がいいように感じられるのは、こうした思考や問題解決の経験を繰り返しているからだろう。膨大な練習量は欠かせないだろうけれども、その間にも、言われたことをただがむしゃらにやるのではなく、どのように上達すればいいのかを考え続けたからこそ、一流のスポーツ選手になれたのではないだろうか。

 サッカーでボールを蹴るという行為ひとつとっても、何も考えずにパス練習する人と、なぜ自分の蹴り方ではうまくいかないのか、どうすればより理想的な蹴り方ができるのかを一回蹴るたびに考え続けている人とでは、大きな違いが生まれる。外からは同じことをしているように見えても、その間に重ねている思考の数も質もまったく異なっている。

 たったひとつの分野であれ、そのような経験を重ねた人は、物事は考えて工夫すれば上達するという実感を持ちやすい。だからこそ、苦手なことでも諦めずに解決策を考え続けることができる。