決意

 結局のところ、自分で学ぼうとしない限り、ほんとうの意味で何かを学ぶことはできない。同じように、自分から変わろうとしない限り、決して真に自分が変わることはない。

 変わりたいと言いながら、心の奥深くでは現状のままでいいと思っている人は少なくない。それは、人間なら誰にでも起きうることだ。なぜなら、変化には危険がつきものだから。

 未知の世界に飛び込んでいくのは怖い。それは危険を避けようとする人間の本能だ。でも僕ら人類は、その怖さを乗り越え続けたからこそここまで進化してきた。人類は、その時代や環境の変化にあわせて未知の領域を切り拓き、学び続けることによって、今のような繁栄を謳歌するようになった。

 その大元をたどれば、アフリカの樹上で生活していた猿の中から、危険を承知で荒野に降り立ち、未知の世界へと歩きはじめた一群だった。その末裔である僕らには、変化への恐怖と同時に、その恐怖を乗り越え未知に挑戦しようとする勇気も備わっている。

 自分が学ぼうとしないのも、変わろうとしないのも、すべては自分の中にある。その事実と向き合うことはやさしいことじゃない。なぜなら、弱い自分を見つめるのはつらいことだから。

 むしろ、そうした弱い自分を認めたくないがゆえに、僕らは事実から目をそらして生きていく。かつては僕もそうだった。そして、目をそらしたままゲームに逃げて学校をやめた。そして、生きるか死ぬかのギリギリの淵まで行った。

 そこまで追い込まれてはじめて、僕は自分と向き合った。いくつもの幸運が重なったおかげで、なんとか踏みとどまってその危機を乗り越えて、ここまで歩んでくることができた。

 でも、一歩間違えれば、僕はまったく違う道を歩んでいた。そして、僕は一歩間違えた若者を少なからず知っている。そして、誤解を恐れずに言えば、僕がこれまで指導をしてきた中で、その一歩間違う方向へと後押ししてしまったことも、あるような気がする。

 ただ、悔やんでも過去を変えることはできない。

 だから、これから未来を生きようとしている人に僕の経験を活かしてもらえればと思って、この本を書いている。

 たしかに、変化するのは怖い。でも、変化しなければ生き延びられない時がある。そして、この国の今という時代は、まさにそのような瞬間であるように僕には思える。

 だからこそ。

 できることなら、ここから先は「変わろう」という決意をした上で読み進めてほしい。変わることを恐れて、逃げるための言い訳を探して現状の自分を守っているうちは、きっと、この先を読み進めても本当に変わることはできない。どうしてもその決意ができないとしても、せめて、逃げるための言い訳を探さないでほしい。

 僕のこれまでの人生にかけて、この本はあなたを騙そうと思って書いてはいない。僕の力不足ゆえに十分に書ききれないところもあるかもしれないが、あなたがあなたの人生を十分に生きられることを願って書いていることだけは誓える。

 決意。

 その二文字が人生を決めると、僕は自分の人生から確信を持って言える。だから、どうか自分の人生から逃げ出さない決意をもって、この先に進んでほしい。


 (一章終わり)