⑰体を大切にする


 これまで述べてきた「意識」も「無意識」も、どちらも僕らの体を舞台に起こっている出来事だ。脳だけじゃなくて、僕らの身体のすべてにかかわっている。

 学ぶことについて考える時、僕らはどうしても精神的なことばかりに重きを置いてしまう。でも、僕の経験上、「精神」だけでなく「身体」も同じくらい大事にした方がいいと思う。そもそも、精神的なものの要である脳だって、僕らの身体の一部なわけだし。

 僕が受験の頃から実践してきてよかったなと思うことのひとつは、食べ過ぎないように気をつけていたこと。僕らの体は飲み食いしたものからできているけれども、多くの科学的な実験において、食べ過ぎは体にいい影響をもたらさないし、思考力も低下するという結果が出ている。

 僕らの身の回りには「食べるもの」や「飲むもの」が溢れている。当たり前になっているので普段は驚きもしないけれど、コンビニに一歩踏み入れて周りを見渡せば、そこがいかに「食欲」を満たすためにある場所かが分かるはずだ。

 街を歩いていても、たとえば東京では、至るところに飲食店がある。だけでなく、コンビニや自販機をはじめとする飲食物をいつでも買える環境がある。放っておくと僕らはこれを過度に摂取して、自分の体を台無しにしてしまう。

 これほどまでに食欲を刺激するものが多いからこそ、ダイエットがこれほど流行るのかもしれない、とも思う。だって、わざわざダイエットなんてしなくたって、過度に食べ過ぎさえしなければ、それで十分に健康的で、自然な体型が保たれるはずだから。

 僕らの祖先は長いあいだ、三食を食べることの保証されていない時代を生き延びてきた。ちょっとしたことで餓死する危険性があった。だからこそ、現在からすると必要以上の本能的な食欲が僕らには与えられていると思う。そのような「無意識」を、きちんと「意識」の上に引きずり出して、どう行動するのかを考えることが、とても大事だ。

 食欲を現代の日本で野放しにしてしまえば、ほとんど破壊的な影響を身体に及ぼす。そして、体の調子が万全でないとすれば、そこを舞台として生じる「意識」や「無意識」だって万全の調子になるはずがない。

 もちろん、身体を大切にする上で考えるべきことは食事だけに限られない。睡眠のことや、体温管理の大切さについてなど、言いたいことは山ほどある。でも、それについて知る機会はたくさんあると思うので、ここでは「精神だけでなく身体も大事にしよう」というメッセージを残すに留めておこう。