学欲を失う原因その1 何を学ぶのかを選べない


 僕らは何を学ぶのかを、子どもの頃は自分で選ぶことができない。これは、一般的にいって、小学校の時にはじまる。それまでは好きなものを追いかけて、自分の興味の赴くままに学んでいたのに、小学生になった途端、いきなり先生にやらされる勉強が学びの中心になる。

 僕自身を振り返っても、それまで駆けまわって好きなことをして遊んでいたのに、小学校に入って一変したのを覚えている。決まった時間に学校に行くことを強制されて、机にじっと座っていないと怒られる。自分の興味のあるなしを聞かれることもなく、将来必要なことだからという、子どもには納得できない理由で、勉強することを強制させられる。

 小学校に入学する前までは、学校で勉強するのを楽しみにしていた。だからこそ家で両親に漢字を習っては自分でノートに書き、足し算や引き算を一人で練習して学校に入る準備をしていた。そうやって新しく何かを覚えたり、できるようになることは単純に嬉しかった。

 でも、いざ小学校に入って授業を受けてみると、そのような期待はすこしずつ失われていった。特に、宿題をこなすのはつらかった。僕は宿題をするのを忘れたまま学校に行くことが多かったので、よく怒られていた。

 そのせいで、いつしか怒られないために仕方なく宿題をする子どもになった。けれども、そのような気持ちが長続きするはずがない。日に日に宿題が嫌いになっていった。そういう悪循環が生まれて、あっという間に僕はほとんど宿題をしなくなった。教科書を家に持って帰るのも面倒で、机の中にずっと入れっぱなしだった。小学二、三年生くらいの頃だろうか。

 すでにこの時点で勉強は「やりたいもの」ではなく「やらされるもの」に変わっていた。学校の授業はつまらないものになり、楽しみなのは休み時間だけになっていた。