はじめに

 本書には僕がこの十年間で学んできたことのすべてを込めるつもりで書いた。だから、この本がつまらないとしたら、僕の十年間はそれまでだったということだろう。そう思われるなら、それはそれで仕方ない。

 でも、自分の人生を振り返った時、この本に書かれていることを必要としている人がきっといる。そう信じて、僕はこの本を書いた。

 ベストセラーになるような本でなくていい。歴史に残る書物になんてなるわけもない。ただ、この本を読み、人生を変えるきっかけを手にする人が、たった一人でもいてくれればそれでいい。そう願いながら、約二ヶ月の間、パソコンの画面に向かい続けた。

 大学四年の末にインターネットを通じた私塾を立ち上げてから今年で六年目になる。その間に数多くの若者と出会ってきた。主に大学生や高校生、あるいは事情があって学校に行っていない人。彼ら彼女らの多くはいまの世の中に違和感を抱いていた。でも、それを言葉にできないまま、生きづらさを抱えて日々を送っているように僕には思えた。

 本書を刊行する二〇一二年十二月二日は、僕の二十九度目の誕生日にあたる。その十年前、僕は受験の真っ最中だった。その一年前は、行くあてのないまま部屋にこもって自分の未来に怯えていた。さらにその約一年前、僕は高校に行くのをやめたのだった。

 あの頃を振り返れば、僕も同じような生きづらさを抱えていた。未来に希望なんて抱けなかった。でも、十年を超える年月を経た今、当時抱えていた悩みは消えてなくなり、これからやってくる未来にワクワクしながら日々を過ごしている。

 僕が今のように生きられるようになったのは、これまでに出会ってきた数多くの人や本との出会いのおかげだ。その間にはたくさんの失敗をしたし、多くの人に迷惑をかけた。でも、そうした過程を経て生まれた本書だからこそ、過去の僕のような生きづらさを抱えている人に届けられるものがあるはずだと思っている。

 放っておくと生命力が次第に失われていくようなこの時代を、生き延びるための根源的な欲求。決して失ってはならないその力を、僕は「学欲」という言葉で表現してみた。

 残念ながら、多くの人は「学欲」を失ったまま生きていく。でも、本書を気に留め、この文章を読んでいるあなたは、おそらく、そのことを「おかしい」と感じているはずだ。

 本書には、僕がこの十年間で「おかしい」と思ってきたことと、この「おかしい」状況を乗り越えて生きるために行なってきたことを凝縮した。

 立派な理論なんてひとつも載ってない。でも、机上の空論はひとつも書いていない。すべては僕が泥にまみれながら、生き抜くために学び、考え、実践してきたことだ。

 だから。

 願わくば、本書を読み終えた後、あなたの中に「学欲」が取り戻され、ただ一度きりの自分の人生を、自分の手で切り拓いていく決意の生まれんことを。